嘘日記11日目 午前1

日差しで目が覚めた。昨日、帰って風呂に入って2階で寝たのだった。カーテンが開いていた。

昨日の湯がまだ暖かかったので、少し沸かして、風呂にもう一回入った。軽く入るつもりだったのだが、うとうとと、寝てるような寝てない様なでゆっくりしてしまった。友達と温泉巡りをしている夢を見ていた。最後は、朝風呂して浴衣で部屋で朝ご飯。ご飯に合う優しい味付けのおかず、汁物、お魚、さらに好物(朝食時に限る)のスクランブルエッグがこんもり。そんなのを目前によーしってやっりながらぼんやり目が覚めて、起きても気持ちが良いので朝食に未練なし。

ぼちぼち風呂を出て、朝ごはんでも食べるか。

目玉焼きを二つ焼いて、熱く切ったベーコンを食パンで挟んで食べた。手がべたべたになった。スクランブルエッグ食べないんだそこは。

島ちゃんから電話があった。今日釣りするからお前も来いよという。

行くと伝え電話を切った。

まだ朝だよなと思って少しゆっくりする事にした。

駅前まで歩いて行って、おにぎりやでおにぎりを8つ買った。余っても、河原で焼きおにぎりにすればよいだろう。

酒屋で日本酒と焼酎を買った。川に行くんだと言ったら店主が竹を切って作ったコップをくれた。店名の焼き印入りだ。ありがたく頂戴した。

家に戻って、庭に出て大きい声で「お前たちー」って言ってみた。お前たちって呼んだ事無いけど、いつもの子猫と中くらいの猫2匹が現れた。

なのでみんなをごしごし撫でてやって、そのまま一緒に芝生に寝転がっていた。空が少しアーチ状に見えた。じっと空を見ていると、網膜についている塵とか粘膜とかなんだと思うけど、顕微鏡覗いたみたいに透明なもにゃもにゃが空中に見えた。

それを目でというか集中力で追いかけてってしていたら、シマちゃんが家の前に来た。ブロロロ。プップッ。

向かえに来る気だったのか。

戸締りして、シマちゃんの車に乗ろうとしたらシマちゃんが、これやれやってささみの茹でたのを差し出した。猫にあげろという事らしい。

俺たちの行動をわかってたのか?

猫にやったら喜んで食べていた。

シマちゃんの車の中はシップの匂いがした。酔っぱらって昨日転んだのだそうだ。いつもそんな事言ってるよなぁ。

シマちゃんは僕の父親と同じ位の年だ。

ありがとねって言って、さっき猫の抜け毛を集めて丸めたテニスボール大の塊を渡したら、サンキューサンキューと言ってフロントガラスの前にポンと置いていた。こっちは冗談のつもりだったのだけど。どっちのつもりだ?

全滅させてやるぞっと言ってシマちゃんは車を走らせた。